今回は6年連続で年間ベストセラーランキング5位以内(史上初らしいです)という大ベストセラー
「嫌われる勇気」
この本は始め友人から勧められた本なのですが、
「どうせ、よくある自己啓発本に書いてあるような、他人に嫌われようが自分の道を進め!的な事が書いてあるんでしょ」
と思いタイトルから魅力を感じなかったため、
読まないでいました。
↑すごいひねくれ者ですw
しかし読んでみるとこれが非常に面白かったのです。
私が思っていたような、次元の低いレベルの本ではありませんでした。
同じようにタイトルを見て読まない人がいたなら、
今すぐに読むことをオススメします。
本書はひねくれ者の青年と、アドラーの思想を教えてくれる哲人の2人の対話形式で書かれています。
その青年はきっと現代の人と似たような疑問を持っており、その疑問を哲人にぶつけてそれを解決していくという流れでアドラー心理学を学ぶことが出来ます。
私はこの青年とすごく似た考えを持っており、すぐに入り込んでしましました。
この本がこれだけ売れているという事は、きっと私と同じようにこの青年に共感した人が多かったからなのではないかと思っています。
こんな人にオススメ!
- アドラー心理学を学びたい
- 幸せに生きるためのマインドを知りたい
- 難しい本は苦手!
これは「幸せ」を求める多くの方に読んでいただきたい本になっています。
ただ,内容が極端な部分もあり、今の時代に適切かと考えると,そうでない事もあると思います。
読んでいて、全てが納得できるわけではありませんが、それでもプラスになることがたくさん書かれていたため、それらを中心に紹介していきたいと思います。
すでに「嫌われる勇気」を読まれた方はコチラ
「幸せになる勇気」もまとめています↓
https://zuuuka-smile.com/siawaseninaruyuuki-review/
内容
まず、アルフレッド・アドラーの思想の根底にある考えは
「どうすれば人は幸せに生きることが出来るか」
という考えであり、
アドラー心理学は、その答えをシンプルに、かつ具体的に提示していると哲人は言います。
【目的論】
最初の考え方の基本として
「原因論ではなく目的論で物事を考える」
というのがアドラーの心理学の基本となってきます。
原因論と目的論って何か?これだけ言われてもわかりませんよね。
原因論
例えば学生などで引きこもりの人は、外に出るのが不安だったり、学校で人とのコミュニケーションが取れなくて引きこもりになっている
目的論
この学生は引きこもるために不安と言う感情を作り出したり、コミュニケーションに対する恐怖心というものを作り出している。
この考えで行くと、
「不幸だと思っている人は、自らが不幸になることを選んでいる」
ということになりますし、
「自分を変えたいと思っていても変えられない人は変わらないという決心を下しているから変えられない」
という事になります。
このようにまず全ての物事を目的論で考える必要があります。
【課題の分離】
目的論で考えた上で、
「課題の分離」
が必要になってきます。
課題の分離とは、これは誰の課題かを考える事です。
例えば全く勉強をしない子供がいたとします。
多くの親であれば勉強させようとすると思いますが、
これは子供の課題であって、親の課題ではないので、それを切り離して考えます。
そして他者の課題には踏み込まないように言われています。
無理矢理やらせようとしてもやらないことが多いですし、
そこで支配出来たとしても、結果勉強が嫌いになってしまうのです。
かといって何もしなくていいわけではありません。
上記の例であれば、
子供にそれは自分の課題であることを伝え、
援助する用意はあるという事を伝えて、あとは見守る
ようにするのです。
【劣等感】
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
という事も言っています。
人の悩みの多くは「劣等感」からきています。
そして、その劣等感は「客観的な事実」から生まれることが多いです。
この「客観的事実」を「主観的な解釈」で捉えることが出来ればプラスに転じさせることも出来ます。
ようは「周りは関係ない、自分の捉え方次第」ということです。
劣等感は自己成長につながるものでもあるので、悪い事ではありません。
しかし、劣等コンプレックスの状態に陥ると良くないのです。
「劣等コンプレックス」とは…
劣等感を言い訳に使い始めた状態のこと
劣等コンプレックスに陥ると、今度は優越コンプレックスに発展します。
「優越コンプレックス」とは…
あたかも自分が優れているように振る舞い偽りの優越感に浸ること
つまり自慢話をして人の上に立とうとする人です。
逆に不幸自慢をしている人も、実は不幸であることで人の上に立とうとしているという心理作用が働いているとのことです。
これらの権威の力を借りて自らを大きくしようとしている人は、
他者の価値観を生きています。
つまり、自分の人生を生きていないのです。
健全な劣等感とは他人の価値観で感じるのではく、
「理想の自分」との比較から生まれるのです。
【承認欲求】
よく子供や部下は
「褒めて育てるのがいい」
なんて言われていると思います。
しかし、アドラーの心理学では、
承認欲求はいらない
と明言しています。
なぜなら、褒めるという行為には
「能力のある人が、能力のない人に下す評価」
という側面があるからです。
例えば子供に「えらいわね」というのは上下の関係を作る行為になります。怒るという行為だけでなく、褒めるという行為も、背後には「操作」という目的があります。
アドラーの心理学ではあらゆる縦の関係を否定し、全ての対人関係を横にすることを提唱しています。
しかし、これもただ放っておけばいいという事ではありません。
例えば、勉強をしない子供がいた時に、
「勉強という課題に対しての勇気がくじかれていること」
が原因で勉強をしないと考えます。
それを援助するような
「勇気づけ」をすることをするように言われています。
「勇気づけ」とは…
「ありがとう」や「うれしい」という言葉を使い、感謝を伝えることで、相手は他者に貢献出来たことを知る。このことをアドラーの心理学では「勇気づけ」と呼んでいる。
「人は自分に価値があると思えた時に勇気を持てる」
そのための勇気づけをするのです。
【共同体感覚】
アドラーの心理学では
「課題の分離」が出発点だとすると、
「共同体感覚」が終着点になります。
「共同体感覚」とは…
他者を仲間だと見なし、そこに自分の居場所があると感じられること
共同体感覚は以下の3つの事で得られると言います。
①自己受容
出来ないことを出来ると思い込むのが「自己肯定」ですが、
出来ない事を認め、どのように出来るように考えていくかと考えるのが「自己受容」です。
②他者信頼
これは「信用」ではなく「信頼」という言葉を使います。
「他者信用」は条件付きで相手を信じることですが、
「他者信頼」は信じるにあたって、条件をつけないことです。つまり見返りを求めないということになります。
③他者貢献
「わたし」を捨てて誰かに尽くすことではなく、むしろ「わたし」の価値を実感するためにこそあると語っています。
この3つはひとつとして欠かすことのできない、いわば円環構造として結びついています。
ありのままの自分を受け入れるからこそ、裏切りを怖れることなく「他者信頼」することができます。
そして他者に無条件の信頼を寄せて、人々は自分の仲間だとおもえているからこそ、「他者貢献」することができます。
さらには他者に貢献するからこそ、「わたしは誰かの役に立っている」と実感し、ありのままの自分を受け入れることができます。つまり「自己受容」することができるのです。
このように全て結びついて成長していくことが出来ます。
そのための目標として、本書では以下の行動面の目標と心理面の目標が書かれています。
行動面の目標
・自立する事
・社会と調和して暮らせること
この行動を支える心理面の目標
・わたしには能力がある、という意識
・人々はわたしの仲間である、という意識
たとえあなたを嫌う人がいようと、
「他者に貢献するのだ」
という導きの星さえ見失わなければ、迷う事はないし、なにをしてもいい。
嫌われるときは人に嫌われ、自由に生きて構わない。
また、「いまここ」に強烈なスポットライトを当てていれば、大きな目標なんていらないし、特別な存在になる必要なんてない。「普通であることの勇気」も持とう。
世界は誰によっても変えることは出来ない。
「わたし」自身によってのみ変えることができる。
アクションプラン
本書での考え方ですごく重要だと感じたことは、「課題の分離」「他者信頼」「他者貢献」の3つです。
①「課題の分離」を取り入れる!
私も本書に出てくる青年と同じく自分の課題と他者の課題を混同して考えていることが多くありました。
そして、この本の言っている通り、他者に対してイライラする時は、自分の思い通りにいかない時に起こることが多かったのです。
しかし、他者の行動は他者の課題であることがほとんどなので、課題の分離を考える事が出来ればイライラすることも少なくなると思い、この考え方を取り入れています。
実際、この考え方を知っているだけでイライラする場面は圧倒的に少なくなっています。
②「他者信頼」の考え方を活かす!
信用と信頼の違いも今まで意識したことはなかったですが、信頼と思いながらも見返りを求めたり、機体する部分もあったと思います。信頼は無条件で相手を信じる事です。
今は「無条件で」というのを意識して、それが出来るように日常生活を過ごしています。
③「他者貢献」をする!
仕事上、他者貢献を感じやすい仕事に就いていますが、仕事となると貢献している感覚がマヒしてきます。
他の本にも書いてありましたが、他者貢献は週に1.2回行い、年間100時間程度が一番貢献感が得られると言われているため、仕事以外でも何か貢献出来ることを考えていきたいと思いました。
感想&まとめ
最後に書いてあった内容は、想像通り「嫌われてもいいから今を生きる」という内容もありました。しかし、それ以上に大切な事もたくさん書いてあったため、本当に読んでよかったと思っています。
アドラーの心理学で「しあわせになる」という部分の全てを解決出来るとは思いません。
しかし、そこに至るまでの考え方には学べる部分が非常に多くありました。
読んでいて、疑問点に思ったこともいくつかあります。
まず褒めることについて明確に否定しています。
現代の教育は「褒めて伸ばす」という言葉が多く聞かれ、私自身も社員教育をしていて、それを意識してやっていました。それが全部打ち砕かれましたw
本書では、褒める行為は縦の関係を作る。
縦の関係ではなく横の関係を作るのがいいという内容で書かれています。
私は友人にも「すごい!」「よく頑張ったね!」と思うことはあるし、言うこともありますが、
褒めることは横の関係でもあると思います。
本書で言う褒めるとは、子供や部下に対しての
「縦の関係を築くような褒め方はやめるべき」という捉え方をしました。
そう考えると、褒めるには2種類あるのかもしれませんね。
また大きな目標もいらないというのも衝撃的でした。
今の社会では目標が全てと言ってもいいくらい大事にされています。
「今を精一杯頑張れば結果はついてくる」というように書いてありましたが、
現代の社会において、明確な目標がないと道に迷ってしまうような気もしました。
この本を読んですぐに変われる人は多くはないと思いますが、生きていく上で重要なマインドは書かれているため、内容が気になった方は、一度ご自身で読んでみてはどうでしょうか。
最後まで見ていただき、
本当にありがとうございます。
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