令和3年で変更された、老健入所・デイケアの加算についての解説はコチラでまとめていますので、是非併せてご覧ください。
この記事を読めばわかること
「褥瘡マネジメント加算」の(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いがわかります
「褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ)」の算定要件・単位数がわかります
(人によって捉え方が色々ある内容になっているため)
令和3年以前にも「褥瘡マネジメント加算」はありましたが、今回の改訂で(Ⅰ)(Ⅱ)と分かれることになりました。
後述しますが、「褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ)」で算定できる単位数は少ないです。
労力と単位数をしっかりと確認した上で算定するかを決めた方がいいと思う加算になっていますので、よく理解した上で検討するべきでしょう。
「褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ)」算定要件
<褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)>
○以下の要件を満たすことが条件とされています。
①入所者等ごとに褥瘡の発生と関連のあるリスクについて、施設入所時等に評価するとともに、少なくとも三月に一回、評価を行い、その評価結果等を厚生労働省に提出し、褥瘡管理の実施に当たって当該情報等を活用していること。
②①の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等ごとに、医師、看護師、管理栄養士、介護職員、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、褥瘡管理に関する褥瘡ケア計画を作成していること。
③入所者等ごとの褥瘡ケア計画に従い褥瘡管理を実施するとともに、その管理の内容や入所者等ごとの状態について定期的に記録していること。
④①の評価に基づき、少なくとも三月に一回、入所者等ごとに褥瘡ケア計画を見直していること。
ざっくりまとめると以下の通りになります。
○入所者ごとに3ヶ月に1回以上は、褥瘡リスクを評価する
○リスクがある入所者は他職種同士で計画書を作成⇨LIFEへのデータ提出
○計画書に基づいた定期的な記録
<褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)>
○褥瘡マネジメント(Ⅰ)の算定要件を満たしている施設等において、施設入所時等の評価の結果、褥瘡が発生するリスクがあるとされた入所者等について、褥瘡の発生のないこと。
まとめると以下のようになります。
○褥瘡リスクがある入所者については、褥瘡を発生させなければさらに加算が算定できる
「褥瘡マネジメント加算」に関わる様式
厚生労働省から出されている様式
厚生労働省より、「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」という様式があるため、そちらを参考にするのが無難だと思われます。
参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について 別紙様式5 褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」
「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」の書き方
こちらの計画書は大項目が3つあります。
①危険因子の評価
②褥瘡の状態の評価
③褥瘡ケア計画
①で危険因子がある場合にのみ③の褥瘡ケア計画を立てる必要があります。
逆に言うと、「危険因子の評価で問題なし」となっているのに、「褥瘡ケア計画」が立てられているのは考え方が異なっているということになりますのでご注意ください。
「褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)(Ⅱ)」の単位数
<褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)>
3単位/月
<褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)>
13単位/月
※加算(Ⅰ)(Ⅱ)の併算不可
これらは併算不可のため、どちらかを選んで算定することになります。
加算を算定するにあたっての見解
LIFEを使って厚生労働省へのデータ提出を考えていたり、もう既に行っている事業所もあるかと思います。
褥瘡マネジメント加算においても、LIFEが必須であるため、まだ加算を算定しておらず、算定するかどうか迷っている事業所もあるでしょう。
この加算は、算定できる単位数がかなり少ないです。
老健では褥瘡を発生させないために、看護・介護・栄養・リハなどが評価してアプローチをすでに行っていると思うので、新たにやるべきことは「3ヶ月に1回の計画書を作成し、それをLIFEで提出」ということになってくるとは思います。その計画書作成の労力をどのように考えるかで、算定するのかしないのかを決めた方がいいでしょう。
また、入所者ごとに(Ⅰ)(Ⅱ)どちらを算定するのかが変わってきます。
(Ⅱ)の算定要件の内容では褥瘡リスクのある入所者に対して、褥瘡を発生させなければ算定できるものとなっていますが、その基準が明確ではないため、考え方によって(Ⅰ)を算定すべきなのか、(Ⅱ)を算定できるのか。というのが異なってくる可能性があります。
私の施設では、上記にある「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」の③褥瘡ケア計画を立てている方で褥瘡の発生がない方は(Ⅱ)が算定できるのではないかという判断で今後考えていくつもりです。
(まだ準備ができておらず算定するところまでは出来ていませんが)
まとめ
介護保険の改訂時には、いつもその文言が明確化されていないことが多いため、グレーが多い業界とされていますよね。
今回の改訂でも、捉え方によって(Ⅰ)を算定すべきなのか(Ⅱ)を算定すべきなのか、異なってくる可能性が大いにあると思います。
どのような考えでこの加算を算定しているのか
監査の時などにも、このようなことがしっかり答えられれば大きな問題にはならないはずなので、そこを考えながら算定していくようにしましょう!