私の大好きな著者の一人、
鈴木祐さんの「科学的な適職」です。
本書は、著者の鈴木祐さんが、
「世の中のキャリアアドバイスは、その大半が個人の経験や嗜好にしか基づいていない」
ということで、個人の考えではなく、データに基づいた考え方が書かれています。
ということを目的に書かれています。
鈴木祐さんの本に関しては以前にも紹介しておりますが、
年間5000もの論文を読まれているため、説得力があります。
⇓以前の記事はコチラ⇓
https://zuuuka-smile.com/saikounotaicho/
私自身は転職は何回もしてきています。
今現在は転職に悩んでいるワケではありませんが、
それでも有益な情報は多く書かれていたため紹介したいと思いました。
ではいませんが、本書は転職を考えている人も、今の仕事に何かしらの不満がある人にもオススメできる本となっておりますので、内容を見て興味が出た方などは、一度ご自身で読んでみる事を強くオススメします。
こんな人にオススメ
「現在転職を考えている」
「いずれ転職する予定」
「自分の今の仕事に不満を抱えている」
「今の仕事が本当に合っているか不安」
上記のどれか一つでも当てはまる人にはすごくオススメです!
色々な評価方法が載っているため、全てを試すというのはかなり大変だと思いますが、
「自分を知る」
という目的だけでも読む価値はあります。
つまり、ほとんどの方にオススメしたい本という事です!
内容
考えるべきステップ
「人生の後悔を限界まで減らす」という適職選びをする上で、考えるべきステップは以下のようになります。
- ステップ1:幻想から目覚める
- ステップ2:未来を広げる
- ステップ3:悪を取り除く
- ステップ4:歪みに気付く
- ステップ5:やりがいを再構築する
本書では、これらステップ1〜5の頭文字を取って、
AWAKE(目覚める)と表現しています。
ステップ1:幻想から目覚める
仕事を選ぶ時に下記の条件を基準に考える方が多いのではないでしょうか?
- 好きを仕事にする
- 給料の多さで選ぶ
- 業界や職種で選ぶ
- 仕事の楽さで選ぶ
- 性格テストで選ぶ
- 直感で選ぶ
- 適性に合った仕事を選ぶ
私も上記の要素、特に①や③で選んでいました。
しかし、
これらは全て間違い
だと本書では色々なデータを用いて示されています。
簡単に説明していきます。
①好きを仕事にする
これは多くの「成功者」と言われる方々が口にしていますよね。
スティーブ・ジョブズの名言にも
「好きを仕事にしてください」
とありますよね。
しかし本書に書いてあるデータでは、
「好きを仕事にする人」よりも、
「仕事とプライベートを割り切って考えている人」の方が、
スキルと継続率は優秀
という結果が出ているそうです。
これは、好きを仕事にしてしまうと、少しのストレスがかかっただけでも「何か違う」と思い続かないケースが多いそうです。
②給料の多さで選ぶ
これも驚きです。
しかしデータでは、
年収と仕事の満足度との相関関係は低いらしいのです。
これには条件もあって、年収400万円以上がある前提にはなります。
生活に困っていた人が、年収が上がって普通の生活が送れるようになったというケースでは満足度は大きく上がるらしいのです。
ですが、年収400万円の人が年収800万円になっても、満足度はほぼ変わらないというデータが出ているとのことでした。
③業界や職種で選ぶ
業界や自分の個人的な興味の変化は予測出来ません。
なので、
「将来性を考えると」
という理由だけで決めてしまうのも違うということです。
④仕事の楽さで選ぶ
仕事というのは大変すぎるのはもちろんダメですが、
楽すぎても仕事に対する満足度は落ちてしまいます。
人は適度なストレスが必要なのです。
⑤性格テストで選ぶ
就職する時には性格テストによって適職が見つかる保証はどこにもなく、
これはタロット占いと同じだと言われています。
⑥直感で選ぶ
直感に対する科学的な証明は色々とされています。しかし、直感が正しく働くためには条件があります。
- ルールが厳格に決まっている
- 何度か練習するチャンスがある
- フィードバックがすぐに受けられる
この条件が揃っていれば直感が正しく働きますが、
就職の場合はそういうわけにはいきません。
⑦適性にあった仕事を求める
「自分の強みを生かす」と就職先を決めて入ったとしても、
周囲の人間が同じような能力を持っているとき、満足度は上がらないそうです。
本書では
「強みをもとに仕事を選ぶのは推奨しないが、今あなたが働いている会社の中で仕事の満足度を高めるために使うなら有用」
とも言われています。
まずはステップ1の幻想から目覚めることが重要です。
次はステップ2の視野を広げることをします。
ステップ2:視野を広げる
たいていの人は「この仕事は良さそう」と思ったら思考が狭まり、それ以外に目が向かなくなります。
ステップ2でもこの7項目で発想の視野を広げることが勧められています。
①自由:裁量権はあるか
女性は「仕事に取り組む場所とタイミングの自由」
男性は「仕事の進め方と作業ペースの自由」
により幸福度が上がる傾向があります。
②達成:前に進んでいる感覚
人間のモチベーションが最も高まるのは前に進んでいると実感する時です。
フィードバックを得られ、それが仕事と結びついていることで満足度は上がります。
③焦点:モチベーションタイプは合っているか
人は攻撃型と防御型にわかれます。
どちらかの焦点タイプに合った働き方をすることで
能力を出しやすく満足感を得られやすいです。
④明確:ビジョンははっきりしているか
「仕事の明確さ」
「会社が掲げる目標の明確さ」
「賃金体系の明確さ」などです。
これらが不明確だと満足度は下がります。
⑤多様:バリエーションはあるか
「自分が持つ色々なスキルを活かすことが出来るか」
「始まりから終わりのどこまで関われるか」
という部分が満足度と大きく関係してくるそうです。
⑥仲間:友人はいるか
職場に3人以上の友人がいる人は、
満足度が96%上がり、給料への満足度も2倍になります。
職場に最高の友人がいる場合、
仕事のモチベーションが7倍になり、作業スピードも上がります。
⑦貢献:世の中の役に立つか
「自分の行為が他人の役に立った」
という事をどれだけ可視化できるか
が満足度と大きく関わっています。
ステップ3:悪を取り除く
この悪とはストレスのある職場のことを指します。
ストレスの感じやすい職場には主に次の2つの乱れがあります。
①時間の乱れ
「長時間労働」
「働く時間が一定でない」(シフトなど)
「長時間の通勤」
など
こららは時間の乱れとなり、健康面に対するリスクは高まります。
また、休日や退社後に職場から連絡が来たり、少しでも仕事について考える人は、気付いていなくても、自然とストレスを感じているそうです。
②職務の乱れ
雇用が不安定
チームに対する信頼感がない
仕事のコントロール権がない
組織内に不公平が多い
など
これらの乱れによっても大きくストレスレベルは上がります。
幸福な仕事を探すための意思決定ツールとして、
プロコン分析・マトリックス分析・ヒエラルキー分析
という3つのツールが紹介されていました。
これらはネットでも使い方などは載っていますし、本書ではその方法とツールをダウンロード出来るQRコードもあるため、試したい方は本書を手に取るのがいいかもしれません。
ステップ4:歪みに気付く
次にステップ4の歪みに気付くためには、
バイアスを取り除く必要があります。
適職探しにおいては特に
「確証バイアス」
「真実性の錯覚」
「サンクコスト」が悪影響を及ぼすようです。
確証バイアスの典型例:
「今の時代はフリーな働き方が重要だ」と思い込んだ人が、独立して成功を収めた人の情報ばかりを集め、同じような考え方をする仲間とだけ付き合うようになること
真実性の錯覚:
繰り返し目にしただけの理由で、その情報を「真実に間違いない」と錯覚してしまう
サンクコスト:
今までたくさんのお金と時間をかけてきたという理由でメリットがない選択にこだわり続けてしまうこと”
これらのバイアスは、遺伝子レベルでの脳のバグのため、自分では気付きにくいという特徴もあるようです。
そこで、これらのバイアスをどのようにして対処したらいいかも書かれています。
バイアスを取り除くにはプロトコル(手順)が必要になります。その方法を簡単に紹介していきます。
「時間操作系プロトコル」
・10/10/10テスト
この意思決定をしたら、
10分後はどう感じるか、
10ヶ月後はどう感じるか、
10年後はどう感じるかを考えるもの。
・プレモータム
失敗を想定して、その原因や対策を考えておくことで冷静な判断が出来るようになるというものです。
「視点操作系プロトコル」
・イリイスト転職ノート
自分の日常の悩みや意思決定について、三人称の視点で日記に説明を書いていくことで、俯瞰的に見れるようになるというものです。
・友人に頼る
バイアスというのは取り除くのには限界があるため、自分のことを自分で考えるより、周りの友人の方が正しい選択が出来ることも多いようです。
・親友イメージング
同じ状況の親友に対してあなたがどのようなアドバイスをするかを考えると、バイアスはある程度取り除かれるようです。
ステップ5:やりがいを再構築する
これは今の職場を継続しようと思った時に、
「現在の職場をいかに良くするか」
「いかに今の仕事にやりがいを見出すか」
にエネルギーを注ぐのがベストです。
そのたの、にジョブクラフティングという方法も紹介されていました。
しかし、仕事への情熱と目的意識を増やすことで、周りよりも賃金が低くなったり、仕事を押しつけられやすいため、注意も必要です。
これでステップ1〜5までの内容は終わりです。
そして最後にキャリアドリフトという考え方が書かれていました。
- 人生は予測不可能なイベントの連続で、計画通りに進む事は少ない
- そのため、自分のキャリアについては事前に細かく決めておくより、大きな方向性だけ定める。
- いったん方向性を決めたら、あとは人生に起きた偶然や予期せぬ出来事に柔軟に対応しながらキャリアを積んでいく
といった内容です。
感想&まとめ
今回は書いてある内容が全て伝えたい内容で、
全然まとめられずに長文になってしまっています。
それだけ重要な部分が多いと感じたし、
読んでいて、ずっと興味深く読めました。
注意点としては、
いろいろ出てくるデータはほとんどが海外での論文データなので、
日本人の性格上違和感のあるデータも若干ありました。
鈴木祐さん著の「科学的な適職」と「最高の体調」を読み、
ストレス面の話はどちらも書かれており、重要な事と推察できます。
他の本も読んでいきたいと思っております。
まずは幻想から目覚めよう!
「好き」や「給料」で仕事を選んでも幸福にはなれない
視野を広げよう!
裁量権や達成感が重要
ストレスは多すぎても少なすぎても適職にはなれない!
私自身は転職活動をしているわけではありませんが、この本は人生にとってもすごく役に立つ本だと思ったため、是非気になる方は読んで見ていただけるといいかと思います。
最後まで見ていただき、
本当にありがとうございます。
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